曲の完成グセをつけよう。

こんにちは。
 
曲を完成させることの難しさを知っている人はたくさんいますが、それがどれだけ大切なことかを理解している人は少ないと思います。
 
今回の記事は、曲を完成させる癖を身に着けることの重要性について書いていきます。
 

質のためにも「質より量」
 

 

ディーン・サイモントンという心理学者が発見したことの一つがとても興味深いです。
その発見とは「クリエイティブな分野で優秀な人は、その分野で同業者よりも質で優れているわけではない」というものです。
彼らが他よりも優れた存在になったのは、より多くの仕事を生み出しているということにあります。
 
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団が選んだクラシック音楽の50大曲のうち、モーツァルトが6曲、ベートーヴェンが5曲、バッハが3曲です。
モーツァルトは35歳で亡くなるまでに600曲以上を作曲しました。ベートーベンは生涯で650曲。そしてバッハは1000曲以上です。
質より量を求めれば、あなたは両方を得ることになります。量が質に繋がる。
 

量はスキルアップに繋がる
 

量を重視すると、より早く制作スキルを身につけることができます。
1つの曲に2ヶ月かけて制作したとすると、メロディ作り、ビート作り、ミキシングやマスタリングに2ヶ月を費やしたことになりますよね。

これが仮に同じ期間に8曲作るとしたら、これらのことを8回やっていることになります。その結果、当然もっと早く上達できるようになります。数は偉大。
 

量はより多くのフィードバックを受け取るきっかけを作る
 

1つの曲を2ヶ月かけて作った場合、フィードバックを求めることができるのは、制作の終わり近くに1回か2回だけです。
しかし、2ヶ月で8曲を作った場合、前のプロジェクトで得たフィードバックを次のプロジェクトに生かすチャンスが7回あります。
 

量で見られる確率が上がる
 

さっきのディーン・サイモントン先生の話ですが、それぞれの分野で優れた業績を残した人たちは、仕事の量が多く、それによってバリエーションが増え、独創性を発揮できる可能性が高くなったからだと結論付けています。
彼は「影響力のあるアイデアや成功したアイデアを生み出す確率は、生み出されたアイデアの総数の正の関数である。」と述べています。
いつかヒット曲を作りたいと思っているのであれば、量を重視するのが一番ということですね。
 

実際どういう意味があるのか?
 

 

特に音楽でキャリアを積みたいと考えているならば、より良くなりたいと考えているならばなおさら、大量の曲を作ることに重点を置くべきであることは明らかです。
 
これは実際のところ何を意味するか?
 
一つ目に、それは1曲に何ヶ月もかけないことを意味します。
 
二つ目に、それは少しハードルを下げることを意味します。
最高のクリエイティブな天才は完璧を目指すのではなく、完成を目指します。これは、自分の作品に基準を持つなという意味ではなく、自分の全ての曲が完璧になるとは限らないことを受け入れるということです。
 
三つ目は、速いペースで作るということを意味します。
1日で1曲完成したら、それは素晴らしいことです。もっと時間をかけなければなどと罪悪感を感じる必要はないです。
多ければ多いほど良いです。自分自身が急速に成長していることに気付きます。
 
そして最後に、全ての自分の音楽が評価されるわけではないという事実に慣れてください。
シェイクスピアの37の戯曲の全てが人気があったわけではありません。
実際、特に「アテネのティモン」と「終わりよければすべてよし」の2つは、散文の乱雑さ、プロットの不完全さ、キャラクターの展開の悪さなどで酷評されています。
 
ヒットを生み出すことだけが全てではありません。
ですが、この事実は良い曲を作る条件、そして量の観点では何が大切かを知ることに繋がります。
 
 
GINPEI

EDMを構築する5つの要素

こんにちは。銀平です。
 
作曲を進めていくと途中で行き詰まることがあると思います。
 
その原因の一つは、「あと他に何の音を入れよう?」ではないでしょうか。
 
行き詰まってるんだから当たり前だろという感じかもしれませんが、完成するまでこの「あと他に何の音を入れよう?」という問題が訪れなかったとしたら最高ですよね。極端な話ですが、完成するまで進捗に行き詰まることは無くなるわけです。
 
「他に何をするか」を常にきっちり理解するためには、そもそも音楽がどういった要素でできているかについて理解する必要があります。
 
例えば、ロックだったらボーカル、ギター、ベース、ドラムなどと構成要素が決まっていますね。(時にはキーボードやDJなど特別な要素が加わるケースももちろんあります。)
 
オーケストラも弦楽器、金管楽器、木管楽器、打楽器などと決まっており、さらにはそれぞれで使用される楽器も決まっていますよね。
 
もちろん各音楽にそれぞれの演奏技術や展開を構築するための技術が問われますが、追加するべき音(楽器)について迷うことはありませんよね。
 
さあ、EDMについてはいかがでしょうか。
EDMの定義も曖昧な中、EDMに入れるべき音を明確にするのは非常に難しいです。
 
ましてやエレクトロニックミュージックである以上、構成する音は明確な楽器とは限らないため、はっきりと音A、音B、音Cを入れましょうと決めるのは困難です。
 
そこで、楽器ではなく音の要素で定義付けをしていけば、「あと他に何の音を入れよう?」という問題が少しずつ解決できます。
 
要素という言葉だけですと小難しいイメージがあるかと思いますので、結論をお伝えします。
 
EDMを構成する要素は5つあり、それは、
 
メロディ、コード、ベース、ビート、FX(効果音)
 
です。
 
ここからは、これらの5つの要素はそれぞれ何なのかを紐解いていきます。
 

メロディ
 

 

メロディとは、主旋律、つまり主役の音になります。
 
特徴としては、上記のMIDIの打ち込みの画像のように単音の連続で出来ています。簡単に言えば口ずさむことができる要素ですね。
 

 
EDMのメロディに向いているリードという種類の音をシンセで作成し、このメロディを奏でるとこんな感じです。
EDMを聞いていて音に馴染みのある方もいるかと思います。
 

コード
 

 

和音とも呼ばれます。先ほどのメロディと異なり、同時に複数の音が鳴っていますね。コードが持つ役割は、その音楽の雰囲気がどういったものなのかを伝えることにあります。
 
例えば、この音楽は悲しい、ハッピーだと感じさせる原因と鳴っているのがこのコードです。
 

 
いかがでしょうか?メロディを聞いた時以上に、「明るい」「切ない」といった感情的な要素を感じませんでしたか?
 
これがコードの持つ役割です。
 

ベース
 

 

ベースとは、全ての音のなかで最も低い旋律です。この画像は先ほどのコードのものですが、その音の中で最も低い部分を奏でるのがベースラインとなります。
 
難しく考える必要はありませんが、厳密にはコードの中にベースも存在するということになります。
 

 
音で表現するとこういった感じです。先ほどのピアノで奏でているコードとこのベースの音が重なれば、下で奏でている旋律は同じなため、より一体感を持ちながら重いサウンドに仕上げることができますね。
 

ビート
 

 
ドラムをはじめとする楽曲にリズムを与える要素です。
キックやスネア、ハイハットなどの実在する楽器を取り入れる他、グラスを叩く音や紙を破る音を使ってユニークにビートを作るアーティストもいます。
 
ここでもビートの構築に明確な掟などはないため、まずは好きな音楽のビートを真似して構築するのがオススメです。
 

 

FX(効果音)
 

 

最もトリッキーな存在がFX(効果音)ですね。名前の通りですが、楽曲のパートとパートの変化や味付けをしてくれる要素です。
 
例えば、
 
・新しいパートに入った際にドーンと鳴るインパクトの音
・メインに向かうビルドアップパートでシュワーという音で高揚感を表現するアップリフター
・次のパートに入る直前に鳴るリバースシンバルの音
 
こういったものが挙げられます。
 

 
このようなサウンドが上記の4要素に加わることで、より音楽の存在感を際立たせることができます。
一つ一つのサウンドは地味なものが多いですが、無ければそれはそれで寂しく感じるものが多いです。
 

まとめ
 

ダンスミュージックを作る際、どんなシンセでどんな音を選ぼうかという部分で迷うことは非常に多いと思います。
そんな時に、選ぶ音の目的がこの5つの要素のいずれかに当てはまっているかどうかを考えることで、制作をする上で行うアクションの目的が明確になります。
 
一つの指標、参考になれば幸いです。
 
 
GINPEI

結局ミキシングって何?3つの目線でスッキリ理解できる。

こんにちは、講師の銀平です。
 
タイトルの通り、ミキシングを3つの目線によってスッキリ理解していくという話をします。
 
早速ですが画像を2つご覧下さい。
 

 

 
これらは音の居場所を表したものです。
 
この画像はミキシングの3つの概念を端的に表しており、これの見方を理解することで楽曲制作におけるミキシングの概念をスッキリと理解することができます。
 
これを踏まえて今日はこの3つのミキシングにとって超重要な、そして意味がわかればミキシングにもう拒否反応を示さなくなる概念について解説していきます!
 

ミキシングを理解する3つの目線

 
ズバリ、ミキシングとは何か?それは、音同士のバランスを整える作業です。
 
ここでスッキリしないのが、「何の」バランスか?ですよね。
この「」の中に3つの目線が入ります。
 
周波数、定位、距離
 
この3つです。
つまり、ミキシングとは
 
・音同士の周波数のバランス
・音同士の定位のバランス
・音同士の距離のバランス
 
を整える作業です。
 
ここまでで、ミキシングっていうのは音同士のバランスを整える作業のことで、そのバランスは3つの目線で捉えるものだとわかりましたね。
 
でも、今度はこの周波数、定位、距離っていう言葉に拒否反応を示しそうですよね。僕はそうでした。
 
次の項目からは、この3つの言葉に対する壁を取り除くべく、順番にわかりやすく解説していきます。
 
 

周波数

 
小難しい言葉で嫌ですね…。要約すると、
 
「音の高さ」
 
です。周波数とは、音の高さを数値化したものって感じですかね。
ヘルツという単位なのですが、例えば人間は20Hz(めちゃ低い)~20000Hz(めちゃ高い)の範囲が聞き取れるらしいですよ。
 
つまりミキシングの概念1つ目は、
 
「音同士の高さのバランスを整える」となります。
 
突然ですが皆さん、Logic Pro Xのチャンネルのここって見たことありますか?
 

 
EQと書いてあり、ここを押すとChannel EQというプラグインがAudio FXに追加されます。
ちなみにChannel EQはこういうやつです。
 

 
これを使えばそのトラックで鳴る音の、ある周波数を消したり上げたりすることができる道具です。
 
Channel EQはLogic Pro Xに内蔵の数あるAudio FXのうちの1つなのですが、なぜだか彼にはワンタッチで呼び出せる専用のボタンがあります。
 
それくらいこのEQという名の周波数をコントロールする道具は、超メジャーに使われるプラグインなわけですね。
 
こういった仕様からもわかるように、楽曲制作で「周波数を気にする」ってのはかなりスタンダードなことなんですよね。
 
この概念を、ミキシングの具体的な方法に落とし込むと、
 
1.ある音(チャンネル)にEQを入れてみる
2.何もいじらなくていいから再生し、どの周波数が強くなっているか見てみる
3.他の音でも同様のチェック
4.ある複数の音同士が、周波数で被っていることに気付く
5.一方の音を削除、もしくはオクターブを変更する
6.被っていた複数の音が周波数上で被らなくなる
7.音同士の高さのバランスが整う
 
こういった感じです。
もちろん詳細は挙げればキリがありませんが、このように自分の作っているプロジェクト上で明らかに音の高さが被っているものが無いかを気にするだけでも大きく変わってきます。
 
最初の音選びから意識が変わりますよね。
 

 
先ほどの画像で言うと、縦軸が音の高さを示しています。
 
 

定位

 
また初耳な熟語が出ました。こんな簡単な漢字同士でも知らない言葉ってあるんですね…。
 
定位とは、文字通り「位置を定める」ことを言います。
 
まだピンとこないと思いますので、皆さんにやっていただきたいことがあります。
目を閉じて、好きな音楽をヘッドホンで聴いて見てください。
できればバンド形式のジャンルがおすすめです。
 
そして、ボーカル、ドラム、ギター、ベースの音それぞれに注目して聴いてください。
 
ボーカルやドラムは中央で聴こえ、ギターは右、ベースは左(ギターとベースは左右逆の場合もあります。)で聞こえる感じがしませんか?
 
それがまさに定位という概念です。
 

 
この画像の横軸が定位ですね。
ダンスミュージックの場合は左右対象に定位を意識することが多く、「中央か外側か」という視点で聴くことが多いです。
 
例えば青枠のLead Synthは500~3000Hzあたりで中央にも外側にも存在していますよね。
 
これは、同じような周波数の音を複数重ねた際、どちらも譲れないものだとしたらこのように「中央に置くサウンドA」と「外側に置くサウンドB」とすることで、周波数の喧嘩を抑えつつ広がりのある音に仕上げることができる考え方です。
 

 
具体的には、Logic Pro X内蔵のDirection Mixerを仕様し、Spread部分を外側に引っ張ると音がサイドに広がるようになります。
 

 
Infected MushroomというDJ/プロデューサーのリリースしている無料のプラグインでもこのような道具が出ており、非常にオススメです!
 
ダウンロードリンクはこちら
 

距離

 
聞き馴染みのある言葉がようやく出てきましたね。
実は今から話す「距離の概念」は、正確には先ほどの定位の中に含まれているものなんです。
 
ですが、分けて考える方が理解しやすいので、ここで距離という言葉を使って説明していきます。
 
距離とは、音楽の世界で言い換えれば「奥行き」です。
 
音楽を聞くときにこの奥行きについて意識して聴いたことはありますでしょうか?僕はありませんでした。
 
ある音は近くで、またある音は遠くで鳴るようにすれば、そこには距離の差が生まれます。
 
この距離の差、いわゆる奥行きの違いをもし各音に表現出来れば、その楽曲は立体的になります。つまり3Dですね。
 
この3Dの考え方に対し、先ほどの定位は音の内側か外側かという平面(2D)の考え方だったので、セットで考えるとより良いです。
 

 
例のごとくこちらの画像。中央の3000Hzあたりに音が集中していますよね。
 
しかしよく見ると、Lead Synth(青)の手前にClap(ピンク)、さらに手前にKick Click(緑)という表現になっています。
 
つまりこれらの音は、周波数も定位も被っちゃってるけど、距離(奥行き)の違いがあると言えます。
 
これはなかなか難しいですよね。自分のミキシング作業に落とし込むのも難しそうです。
 
以下より距離(奥行き)を作るための具体的な戦術です。
 

 
これはLogic Pro X内蔵プラグインのChromaVerbです。リバーブと呼ばれる種類の道具で、そのトラックの音の鳴る空間を変えることができます。
 
簡単に言えば音が響きます。
 

 
上のRoomを選択すると、どういう空間で鳴る感じになるかが選べます。
 
右下のWetは、設定したリバーブ感をどれくらいの割合で見せていくか決められます。
 
Decayはリバーブで響く時間を設定できます。
 
これらのパラメータだけでも理解して触ってみると、音の奥行きを作り出すことが出来ます!
 

まとめ

 

 
こうして改めて見てみると、この図では音の居場所に関する情報が3つの視点によって表現されていると分かります。
 
そしてミキシングとは、まさに楽曲をこのようなイメージで作るということです。
 
ちなみにこの画像は配置の仕方の一例なので、必ずしもこうであるべきではありません。
 
そのプロジェクトによって独自の音の配置を決めてミキシングをすることで音楽のバランスは整いますので、ぜひ挑戦していきましょう。
 
 
GINPEI