こんにちは、講師の銀平です。
タイトルの通り、ミキシングを3つの目線によってスッキリ理解していくという話をします。
早速ですが画像を2つご覧下さい。
これらは音の居場所を表したものです。
この画像はミキシングの3つの概念を端的に表しており、これの見方を理解することで楽曲制作におけるミキシングの概念をスッキリと理解することができます。
これを踏まえて今日はこの3つのミキシングにとって超重要な、そして意味がわかればミキシングにもう拒否反応を示さなくなる概念について解説していきます!
ミキシングを理解する3つの目線
ズバリ、ミキシングとは何か?それは、音同士のバランスを整える作業です。
ここでスッキリしないのが、「何の」バランスか?ですよね。
この「」の中に3つの目線が入ります。
周波数、定位、距離
この3つです。
つまり、ミキシングとは
・音同士の周波数のバランス
・音同士の定位のバランス
・音同士の距離のバランス
を整える作業です。
ここまでで、ミキシングっていうのは音同士のバランスを整える作業のことで、そのバランスは3つの目線で捉えるものだとわかりましたね。
でも、今度はこの周波数、定位、距離っていう言葉に拒否反応を示しそうですよね。僕はそうでした。
次の項目からは、この3つの言葉に対する壁を取り除くべく、順番にわかりやすく解説していきます。
周波数
小難しい言葉で嫌ですね…。要約すると、
「音の高さ」
です。周波数とは、音の高さを数値化したものって感じですかね。
ヘルツという単位なのですが、例えば人間は20Hz(めちゃ低い)~20000Hz(めちゃ高い)の範囲が聞き取れるらしいですよ。
つまりミキシングの概念1つ目は、
「音同士の高さのバランスを整える」となります。
突然ですが皆さん、Logic Pro Xのチャンネルのここって見たことありますか?
EQと書いてあり、ここを押すとChannel EQというプラグインがAudio FXに追加されます。
ちなみにChannel EQはこういうやつです。
これを使えばそのトラックで鳴る音の、ある周波数を消したり上げたりすることができる道具です。
Channel EQはLogic Pro Xに内蔵の数あるAudio FXのうちの1つなのですが、なぜだか彼にはワンタッチで呼び出せる専用のボタンがあります。
それくらいこのEQという名の周波数をコントロールする道具は、超メジャーに使われるプラグインなわけですね。
こういった仕様からもわかるように、楽曲制作で「周波数を気にする」ってのはかなりスタンダードなことなんですよね。
この概念を、ミキシングの具体的な方法に落とし込むと、
1.ある音(チャンネル)にEQを入れてみる
2.何もいじらなくていいから再生し、どの周波数が強くなっているか見てみる
3.他の音でも同様のチェック
4.ある複数の音同士が、周波数で被っていることに気付く
5.一方の音を削除、もしくはオクターブを変更する
6.被っていた複数の音が周波数上で被らなくなる
7.音同士の高さのバランスが整う
こういった感じです。
もちろん詳細は挙げればキリがありませんが、このように自分の作っているプロジェクト上で明らかに音の高さが被っているものが無いかを気にするだけでも大きく変わってきます。
最初の音選びから意識が変わりますよね。
先ほどの画像で言うと、縦軸が音の高さを示しています。
定位
また初耳な熟語が出ました。こんな簡単な漢字同士でも知らない言葉ってあるんですね…。
定位とは、文字通り「位置を定める」ことを言います。
まだピンとこないと思いますので、皆さんにやっていただきたいことがあります。
目を閉じて、好きな音楽をヘッドホンで聴いて見てください。
できればバンド形式のジャンルがおすすめです。
そして、ボーカル、ドラム、ギター、ベースの音それぞれに注目して聴いてください。
ボーカルやドラムは中央で聴こえ、ギターは右、ベースは左(ギターとベースは左右逆の場合もあります。)で聞こえる感じがしませんか?
それがまさに定位という概念です。
この画像の横軸が定位ですね。
ダンスミュージックの場合は左右対象に定位を意識することが多く、「中央か外側か」という視点で聴くことが多いです。
例えば青枠のLead Synthは500~3000Hzあたりで中央にも外側にも存在していますよね。
これは、同じような周波数の音を複数重ねた際、どちらも譲れないものだとしたらこのように「中央に置くサウンドA」と「外側に置くサウンドB」とすることで、周波数の喧嘩を抑えつつ広がりのある音に仕上げることができる考え方です。
具体的には、Logic Pro X内蔵のDirection Mixerを仕様し、Spread部分を外側に引っ張ると音がサイドに広がるようになります。
Infected MushroomというDJ/プロデューサーのリリースしている無料のプラグインでもこのような道具が出ており、非常にオススメです!
ダウンロードリンクはこちら
距離
聞き馴染みのある言葉がようやく出てきましたね。
実は今から話す「距離の概念」は、正確には先ほどの定位の中に含まれているものなんです。
ですが、分けて考える方が理解しやすいので、ここで距離という言葉を使って説明していきます。
距離とは、音楽の世界で言い換えれば「奥行き」です。
音楽を聞くときにこの奥行きについて意識して聴いたことはありますでしょうか?僕はありませんでした。
ある音は近くで、またある音は遠くで鳴るようにすれば、そこには距離の差が生まれます。
この距離の差、いわゆる奥行きの違いをもし各音に表現出来れば、その楽曲は立体的になります。つまり3Dですね。
この3Dの考え方に対し、先ほどの定位は音の内側か外側かという平面(2D)の考え方だったので、セットで考えるとより良いです。
例のごとくこちらの画像。中央の3000Hzあたりに音が集中していますよね。
しかしよく見ると、Lead Synth(青)の手前にClap(ピンク)、さらに手前にKick Click(緑)という表現になっています。
つまりこれらの音は、周波数も定位も被っちゃってるけど、距離(奥行き)の違いがあると言えます。
これはなかなか難しいですよね。自分のミキシング作業に落とし込むのも難しそうです。
以下より距離(奥行き)を作るための具体的な戦術です。
これはLogic Pro X内蔵プラグインのChromaVerbです。リバーブと呼ばれる種類の道具で、そのトラックの音の鳴る空間を変えることができます。
簡単に言えば音が響きます。
上のRoomを選択すると、どういう空間で鳴る感じになるかが選べます。
右下のWetは、設定したリバーブ感をどれくらいの割合で見せていくか決められます。
Decayはリバーブで響く時間を設定できます。
これらのパラメータだけでも理解して触ってみると、音の奥行きを作り出すことが出来ます!
まとめ
こうして改めて見てみると、この図では音の居場所に関する情報が3つの視点によって表現されていると分かります。
そしてミキシングとは、まさに楽曲をこのようなイメージで作るということです。
ちなみにこの画像は配置の仕方の一例なので、必ずしもこうであるべきではありません。
そのプロジェクトによって独自の音の配置を決めてミキシングをすることで音楽のバランスは整いますので、ぜひ挑戦していきましょう。
GINPEI
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